「…ふ〜ん、辞書機能まで付いてるんだ。ほんとに便利だね、この機械」 「"くぉっどすきゃな"だったか?文字を打ち込むのが果てしなく限りなく面倒だがな」 「ま、覚えるのは苦労したけどね。…どれ、せっかく辞書機能があるんだから、何か適当な単語でも調べてみようかな」 「物好きなヤツだ」 「ただの好奇心だよ。…じゃ、"フェイト"の意味は、っと…」 「…名前かよ」 「いいじゃないか、他国の言語にどんな意味があるのか調べるってのも」 「…で?何か目ぼしい単語でも出たか」 「えーっと…、へぇ、なるほどね」 「どれ」 「…ほぅ。中々大それた意味を持ってるじゃねぇか」 「だね。だって、」 「「運命」」 Angel and goddess and child demon 「あぁ、確かに僕の名前の意味は、地球のとある言語では運命って意味ですよ」 「名前の意味ですか〜。前、私の学校でそういう話題が出たことありますよ」 「ソフィアの名前の意味は…そういえば、中々に良い意味があるじゃない?」 「マリアさんだって、良いカンジの名前じゃないですか」 「ふぅん?一体どういう意味を持ってるんだい?」 「地球語では確か、"ソフィア"は知力とかそう意味だったわよね」 「私頭悪いですから、あまり似合う名前じゃないですよ。"マリア"は聖母の名前ですよね」 「聖母なんてガラじゃないわよ、私」 「…お前らの星では、わざわざ名前に意味を持たせて名づけるのか?」 「いんや、別にそんなことはないけど。偶々ってこともあるし」 「へぇ、偶然だとしたら面白いね。じゃあ、"クリフ"はと…」 「…Cliff…崖、断崖、絶壁…だとよ」 「あーなるほどね。確かにいろんな意味でギリギリだよね、クリフって」 「ギリギリって、年齢とかおでことかテンションの高さとか大人げなさとか?(笑顔)」 「言われてみればそうね。そう言えば、ファミリーネームの"フィッター"も何かあまり良くない意味があったように思うんだけど」 「どれどれ、"Fitter"と…洋服屋の縫い子、または組立工?」 「下っ端っていう意味もあるらしいぞ」 「うわ、激しく納得。確かにそーいうキャラだよね」 「キャラって言えば…、フェイトもファミリーネームがピッタリじゃない?」 「"ラインゴッド"よね?ラインとゴッドで分ければ、確かにそうね」 「"Line"は…線、で、"God"は…、神?」 「…当たってると言えば当たってるかもしれねぇがな…名前まで物騒だとはな」 「何が言いたいんだいアルベル。そういうお前の名前の意味はもう調べたのかよ?」 「でも、"アルベル"って単語は聞いたことないですよね」 「まぁ、エリクールの人間だもの。こちらの単語に類さない名前があっても不思議じゃないわよね」 「一応見てみようかな。…うーん、やっぱりないみたいだね。残念」 「何が残念なんだ」 「お前の名前になんか意外な意味があったら面白いなーってだけだよ。ねーネルさん」 「ですよねー。もしアルベルさんの名前の意味が、こっちでは可愛いとか猫とかカスタードプリンとか言う意味だったら面白いですもんね」 「…その単語の選択はなんだか微妙だけど、まぁそうよね」 「じゃ、他の皆の名前も面白い意味があったりするのかね?」 「まだ調べるのか?ったく、つくづく妙な事を気にする奴だな」 「アルベルもノリノリで調べてたじゃないか」 「だってこーいうのって結構楽しいですよねー。例えばミラージュさんは蜃気楼とか儚い希望とかいう意味らしいですよ」 「合ってる気がするわね…。ファミリーネームの"Coast"は、たしか海岸とか沿岸って意味だったかしら」 「ふぅん…皆意味のある名前なんだね」 「別に名前なんぞに意味を見出す必要なんぞねぇだろうがよ」 「本当にアルベルは夢というか情緒というか、とにかくそーいうのないなぁ」 「そうですよ!親は子供にこうなってほしいとかこうあってほしいとか思って一生懸命名前を考えるんですから」 「まぁ、例外も偶然もあるけどね。…そういえば、スフレの名前はお菓子の名前と同じだったわよね」 「へぇ、お菓子ねぇ…」 「…お前の名前はどうなんだ?言い出しておいて自分は調べないつもりか」 「ネルさんの名前はー、何かあったっけ、意味」 「うーん、思いつかないなぁ」 「やっぱりエリクールの名前は地球語じゃ特別な意味はないわよね。ロジャーやアドレーだって、特に意味は思いつかないし」 「それはそうだろうけど、でもなんだかつまらないね」 「…何がだ?」 「でも一応調べてみようよ。"Nel"…あー、やっぱりないみたい」 「じゃあ、苗字の"Zelpher"はどうかなぁ?」 「…うーん、特に見つからないわね」 「まぁ、他の星の言語だし、しょうがないさ」 「だったら最初から気にすんなよ」 「ったく、お前もいちいちネルさんに突っかかるなよな。ついでにお前の名前も調べてやるから拗ねるなよ」 「えーと、"Albel"…うーん、ないなぁ。じゃあ、"Nox"は…あっ!」 「あら、何かあったの?…へぇ、中々面白い意味じゃない」 「え?なんだい?」 「くだらねぇ意味だろ、どうせ」 「いや、そうでもないよ。夜の女神の名前だってさ」 「確かに女性と見紛うくらい憎たらしい華奢な体系してますもんね〜」 「…ソフィア、目が本気よ」 「でもあんたが女神ねぇ…」 「奇異な視線を向けんじゃねぇよ。俺が望んでその意味を持ったワケじゃねぇだろうが」 「あー面白かった!たまにはいつも使わない辞書機能を使うのも楽しいな」 「だよねー。でも、フェイトって名前が全部意味を持ってるんでしょ?なんだか羨ましいな」 「確かに"Esteed"には意味はないけど…でも、意味を持つのも困りものよ」 「?」 「どうしてですかマリアさん?」 「だって、"Traitor"の意味はあんまり良いものじゃないもの」 「…あぁ、そっか…確か、裏切り者とかそういう意味だったよね」 「気にしなくてもいいんですよ!だってマリアさんは私達を裏切ったりなんてしないですもん、絶対にっ」 「…そうよね。気にしすぎてたみたい」 「あ、でもさ、トレイターって養父母さん達のファミリーネームだろ?だったら、本名のラインゴッドを使ったっていいんじゃないかい」 「フェイト!マリアさんにとっては育ててもらった大切なご両親のファミリーネームなんだよ?」 「あら、そんなに気を使わなくてもいいのよ?でも、本名の方を使う、ねぇ…あんまり考えたことなかったわ」 「まぁ、マリアが望まないなら今のままで構わないけど…そういえば、養父母といえばクリフ達も当てはまるんだよね?」 「あ、そっか。クリフさんとミラージュさん夫婦も、マリアさんの育ての親なんだね」 「そうね…でも、まだあの二人結婚してないわよ?まぁ、360度どこからどう見ても夫婦だけど」 「きっとめんどいとか忙しいとかで籍を入れてないだけで、事実婚状態なんだよきっと」 「でも、そうなるとマリアさんはどっちのファミリーネームを使えるのかなぁ?今は夫婦別姓でもOKだし」 「そうねぇ…もし変えるとしたら下っ端は嫌だから、ミラージュのほうを使おうかしら?」 「マリア・コーストかぁ。語呂はそれほど悪くないね」 「確かに海岸って、なんだか響きがいいですよね〜」 「まぁ、それもあるけど。ラインゴッドを使うと、ソフィアに悪いと思って」 「え?何かあるのかい」 「何がですか、マリアさん?」 「もう、二人とも鈍いわね。私達が双子の姉弟って知らない人達が傍から見たら、まるで私とフェイトが結婚したみたいじゃない」 「あ、そっか…でも、そんなことソフィアの気にすることじゃないだろ」 「え、ちょっとフェイト、それどういう意味よ」 「聞き捨てならないわね、フェイト?」 「うぁ、杖と銃を構えるなよ!そうじゃなくって、どうせ将来ソフィアだってラインゴットって名乗る事になるんだから気にならないだろうって事」 「………う?」 「あぁ、なるほどね」 「…相変わらず仲がいいね、あの子らは」 「まぁ、腹黒い者同士気が合うんだろ」 「どうしてそういう捻くれたものの見方をするのかね、あんたは」 「ほっとけ」 「はいはい。…ところで、さっき辞書機能を使ってた時、ソフィアとマリアから面白い事を聞いたんだよね」 「は?何だよ」 「昔の地球の、神話だったかな?まぁ、伝説みたいな話の中に天使が大勢出てくるらしいんだけど」 「天使ねぇ…」 「それで、その天使の名前はね…ほとんどが、最後の文字がelで終わるんだってさ」 「………」 「面白い話じゃないかい?」 「…俺とお前の名前の共通点、ってわけか。あいつらの考えそうなことだな」 「他国の言語じゃ特に意味はないって思ってたけど、意外な意味があって驚いたよ」 「それにしたって、天使はねぇだろ」 「まぁね。あんたは天使ってガラじゃないよね」 「お前もな」 「どっちかというと…子悪魔?」 「は?」 「いつだって、私をいろんな意味で悩ませるし困らせるじゃないか」 「…どういう意味で解釈しろと?」 「さぁね?自分で考えな」 「…俺にはお前の方が小悪魔に見えるが」 「そう?」 「少なくとも天使には見えねぇな」 「ま、名前がたまたまそうだったってだけだし。それはそうだろうさ」 「なら、最初から気にすんなよんな事」 「あんたはどうしてそう名前の意味とかそういうことに否定的なんだい?」 「ならお前はどうしてそう名前なんぞにこだわるんだよ」 「え…」 「…だって、どんな些細な事だって共通点があれば嬉しいじゃないか……」 「はァ?」 「…っ、聞こえなかったんならいいよ!」 「なんだよ、気になるじゃねぇかおら言え」 「べ、つに大した事じゃないさ!聞こえなかったならいいって言ってるだろ!」 「大した事じゃねぇんなら言えるだろうが。どんな些細なことでも、の後何つったんだよ」 「…。あー…、えっと…ほら、私だけ名前に何も意味がなかっただろう?だから、どんな些細な事でも意味があると嬉しいじゃないか」 「…そういうもんか?」 「そういうもの、だよ。あんたは夜の女神ってなかなか面白い意味があったからいいだろうけど」 「面白いか?」 「まぁ、…そういうことにしときな」 「ほぉ…」 「別に、お前の名前に意味が有ろうが無かろうが気にする事じゃねぇだろうが」 「どうしてだい?何度も言うようだけど、無いより有ったほうがいいじゃないか。あんたは意味有ったからいいだろうけど、私はなかったんだよ?」 「…お前もそのうち、"夜の女神"になるんだろうが」 「…………………。へ?」 「そうなりゃ共通点とかいうのも気にする事じゃなくなるよなァ、共通もなにも同じになんだから」 「な、あんたさっきの聞こえて…!」 「あんだけ至近距離で言っといて今更何言ってやがる」 「……っ、こンの子悪魔…!」 「あぁはいはい」 「あーもーあの二人もたいがいらぶらぶなんだから」 「羨ましいなぁー」 「あなた達は人の事言えないと思うけど?」 「そんな事言ってさ、マリアだってお気に入りがいるくせに」 「あっわかった、リーベルさんでしょ?」 「え?そりゃまぁ確かにお気に入りのおも…じゃなくて、気に入ってる仲間だけど?」 「(…今絶対おもちゃって言おうとした…絶対言おうとした…)」 「あっそういえば、リーベルさんの名前の意味って何かあるんでしょうかね?」 「リーベルの名前は綴りが思い出せないから調べようがないわ」 「そっかぁ…。ん?でもさ、"リーベル"だから、大抵最後はelで終わるよな?」 「…。ってことは、リーベルさんも天…」 「しーっ!せっかくあっちでキレイに丸く円満に会話してるんだから、知らせちゃ駄目よ!」 「そうそう、せっかく"二人"の共通点なんだから。他にもゴロゴロしてるなんて言ったらガッカリするだろ?」 「…ゴロゴロ?…そういえば、クリエイターのマクウェルさんやミシェル君とかももしかして…」 「…言われてみれば、アザゼルもラッセル執政官もそうじゃないかしら」 「…ん?そういえば、今思い出したけどネルさんのご両親の名前ってネーベルとリーゼルじゃなかったっけ?」 「「「………」」」 「…じゃぁまぁ、あの二人にはこれは内密にってことで」 「え、大丈夫だよ!」 「…何が大丈夫なの?」 「あの二人、ってかネルさんに言ったら、また気にするかもしれないじゃないか」 「平気平気!だって、」 「夜の女神兼天使はあのお二人だけだもんv」 |