「ねぇネルさん、シーハーツの隠密さん達の服って、みんな可愛いデザインですよね」
「ん?そうかな?」
「はい!色合いも地味じゃない程度にシックで、デザインも細部まで凝ってるような感じしますし!それによく考えたら皆さん微妙にデザインが違いますよね?」
「あぁ、一般兵は統一されてるんだけどね。私達上層部の面々は、自分の戦闘スタイルとか単なる好みとか諸々の理由で、自分で好きな服に改造できるんだ」
「あぁ、だからファリンさんやタイネーブさんも微妙に違った服なんですね」
「そういうことになるね」





戦う隠密さん





その一
赤毛ショートの隠密さんの場合



「じゃあネルさんはどうしてそのデザインにしたんですか?」
「私はただ単に、動きやすさを第一に作っただけだよ。本当は袖もいらなかったんだけど、ほら、二の腕に施紋が刻んであるだろ?ここを怪我して施紋が途切れたら洒落にならないからね」
「なるほど…でも動きやすさだけ考えて作られたにしてはとてもネルさんに似合ってますよ!スリット入ったミニスカートが似合うキレーな足って憧れちゃいますvかっこいいネルさんにピッタリですよ〜」
「そう?それはどうもありがとう。…私も結構気に入ってるよ、この服」





その二
金髪ベリショの隠密さんの場合



「ねぇファリンさん、タイネーブさん、シーハーツの上層部の隠密さん達の服って、自分達で決めれるんですよね。お二人はどうしてそのデザインにされたんですか?」
「そうですね…私は動きやすさ重視でネル様と同じようなデザインにしたかったんですけど…実は冷え性で…」
「それで、露出度少な目〜の、心持ち暖かい服にしたんだよね〜」
「あぁ、なるほど…冬辛いですもんね…。でも、ミニとロングのスカートがうまく組み合わせられてて素敵ですよ!金髪さんに黒い服って合うし、体育会系なタイネーブさんにピッタリですよ〜」
「へへ、ありがとうございます」





その三
紫色の外ハネ髪の隠密さんの場合



「じゃあ、ファリンさんは?」
「私ですかぁ?私は〜考えるのめんどうだったから適当に選んだらなんだか男性兵士の士気がものすごく上がったのでぇ、今もこれ着てるんですよ〜」
「………」
「…そ、そうだったんですか」
「はいぃ、そうなんですよね〜。でもなんでかなぁ、別にフツーだよねぇ、この服。ねぇタイネーブ?」
「そ、そうだね…。…(そんだけ露出度高けりゃなぁ…この子元が良いから余計にね…)」
「(…ファリンさん、スタイルいいもんなぁ…ていうか、さり気に何気に確信犯だよこの人…)」
「あれぇ、どうかしましたかぁ?二人そろって苦笑いされてるなんて」
「いっ、いえなんでもないんです。でも、ファリンさんスタイル良いから露出度高めの服がピッタリですね〜」
「ありがとうございますぅ。私も、今はこの服結構気に入ってるから、士気どうのこうの抜きにしてもずっとこのままのつもりですけどね〜」
「ははは…そうだね。私も冷え性治る気配ないし、ずっとこれで行こうと思うよ」
「(…ていうかタイネーブさん…もしかしてファリンさんとスタイル比べられるのが嫌だったから露出度低めの服にしたんじゃ…)」





その四
銀髪ロングの隠密さんの場合



「ねぇクレアさん、シーハーツの上層部の隠密さん達の服って、自分達で決めれるんですよね。クレアさんはどうしてそのデザインにされたんですか?」
「これですか?特に大した意味はないですけど…やはり司令官ですから、素早い立ち回りができるように動きやすさを重視しましたね」
「でも、ネルさんみたいなミニスカートじゃないですよね?あっ、似合ってないとかそんな意味ではないですけど…」
「あぁ、わざわざ動きづらいロングスカートにした事ですね。それはですね、」



―――そう言いながら、クレアさんはにこにこ笑顔を絶やさないまま、ゆっくりとスカートのスリットに手を伸ばしました。
次にクレアさんの手に握られていたモノは、キラリと光る…



「―――こういったモノを隠すのにちょうど良いんですよね」
「…た、短刀?」
「ちなみに刃先には即効性の毒が塗ってあります」
「………」
「他にも、腿にベルトをつけてクナイを隠し持つ事も出来ますし、スカートの裏には隠しポケットみたいなものがあって暗殺用の毒針や毒薬やらを仕込む事もできます」
「………」
「でも動きやすさを考慮すると、あまり重いものは仕込めないのですけどね」
「………」
「…あら?どうしましたかソフィアさん、青ざめてらっしゃいますよ(ニコニコ)」
「い、いえ…。で、でもでもクレアさん、すらっとした綺麗な足ですからすっごく似合ってますよ!ロングスカート+スリットって、着る人を選びますし…クレアさんにピッタリだと思います!」
「それはどうもありがとうございます。私も気に入っているんですよ」





「…隠密さん達の服がアレンジできるって、お洒落のためじゃないんだ…」
戦う女性はたくましいなぁ、かっこいいなぁ。
その日、ソフィアは思いました。





番外
金髪プリンの誰かさんの意見



「…んあ?ネルの服?あれほど脱がしにくい服はねぇよな…がっ!」
「それ以上言ったら蹴るよ!殴るよ!口聞かないよ!」
「…蹴ってから言うんじゃねぇよ」