最近、猫を飼い始めた。
とても気まぐれで密かにプライドの高い猫。





ゼルファーさんちのにゃんことノックスさんちのわんこ





猫はいつも何を考えているのかわからない顔をして、好き勝手奔放に私の家を歩いている。
おなかが減れば勝手にその辺のものをぱくぱく食べてしまうし、飼い主のものは自分のものとでも思っているような素振りすらある。
でも好奇心旺盛で自由奔放な癖に、私が触るな、と言ったものは気にしつつも触れない、聞き分けは良い子だ。
普段そっけないくせに実は甘えんぼで、たまに…いや、結構かなり頻繁に夜私のベッドに入ってきたりする。猫はとても寒がりなので、冬や秋ならまだわかるのだけど、暑がりの癖に寝苦しい熱帯夜でもひっついてくるのはどうなんだろうか。
構って貰えないとさりげに拗ねるし、構ってやったら調子に乗って"イタズラ"しだしたりする、子猫ではないけど子猫のような猫だ。
あと猫の例に漏れずやきもち焼きで、飼い主が他の誰かと楽しそうに話してるだけで機嫌が悪くなっていたりする。
そういう時は家に帰ってからが困る。拗ねるわ噛み付くわひっついて離れないわ、他色々。
そうなってしまった猫は"イタズラ"ばかりしたがるので、しょうがないから心行くまで気の済むまで付き合ってやると大抵けろりと機嫌がよくなる。
手っ取り早く好物を作ってやると大抵機嫌が直るのだけど、私も猫の"イタズラ"に付き合って甘やかすのは…まぁ、嫌いではないので。
あぁ、言い忘れたが猫は食欲旺盛で出されたものはぺろりと平らげるので、毎日何を作ろうか考えるのが楽しみの一つになっていたりする。
やはり私も、自分の作った料理を猫が美味しそうに食べているのを見るのは嬉しいし微笑ましい。
普段ぜんぜんまったく可愛くないけど、やはりこういうときは可愛いと思えてしまうのは飼い主の欲目だろうか。



なんだかんだ言って私も猫が気に入っているしあっちも私を気に入ってくれているようなので。
ずっと一生どちらかが死ぬまで一緒にいようと思う。





最近、犬を飼い始めた。
とても生真面目で密かに強情な犬。



犬はいつも規律やら礼儀やらにうるさく、俺の家を歩くときも常にそういったことに気を配っている。
仮に腹が減っていても俺の許可を得るまで食事に手をつけようとしない。それどころか、俺の帰宅がとんでもなく遅くなっても食事に手を着けずに待っていたりする。
先に食べていいと言っておいても必ず俺が来るまで待っている。こういうところは頑固だとつくづく思う。
が、俺の帰りを寝ずに待とうと深夜まで起きていようと努力している様子は、なかなか微笑ましい。
意外に警戒心が強く、敵対した相手には闘争心むき出しで接する。俺も出会ったばかりは苦労した。
その反面、仲間と認識した相手に対する仲間意識はとても強い。仲間と見なした相手に危険が迫れば身を呈してでも護ろうとする。こちらとしては見ていて危なっかしくてしょうがない。
それと、尊敬している人間には本当に忠実で、命令には決して背いたりしない。
そのくせ飼い主の命令は時々逆らうし、無視したりもする。矛盾していると思うのは俺だけだろうか。
あと強情で意地っ張りなので、例え寂しくても表面に出したりしない。
そういう場合は大抵俺から近寄って撫でてやったりするのだが、そうすると目を細めてじゃれるように甘えてくる。まったく本当に素直じゃねぇ。
寝るときは大抵先にベッドの上でちょこんと座って待っている。
その様子が微笑ましくて、つい"甘やかして"やろうと犬に乗っかってベッドの上にごろんと転がそうとすると、照れたような様子で軽く大暴れ(矛盾しているが気にするな)して抵抗する。
…が、どう見ても本気で嫌がっている様子ではないので、少し撫でたり宥めたりするとあっけなく大人しくなる。
諦めたように、ころんとベッドに仰向け―――犬にとっての"降参"の意を表すそうだ―――になって、だがまだどこか照れくさそうな顔でこちらを睨んでいたりする。
大人しく、"降参"した犬を、俺はここぞとばかりに"甘やかす"。
"甘やかし"た時の犬の反応はとても可愛らしいので、俺も犬を"甘やかす"のは結構、いやかなり好きだったりする。
素直じゃなくて意地っ張りなのは、相変わらずだが。
普段でさえもかなり可愛いけど、やはりこういうときは特に可愛いと思えてしまうのは飼い主の欲目だろうか。





なんだかんだ言って俺も犬が気に入っているしあっちも俺を気に入ってくれているようなので。
ずっと一生どちらかが死ぬまで一緒にいようと思う。





「ネルさん、アルベルさんと同棲vしてもう一ヶ月ですよね?幸せいっぱいですか?」
「うーん、そうだねぇ…なんだか、手のかかる猫飼ってるみたいな感覚」
「え?」
「何言ってやがる、こっちこそ手のかからない犬飼いはじめた気分だ」
「???」





どちらが飼い主かはきっと二人のみぞ知る。