恋せよ、青少年!



「はぁぁぁあ〜ぁ………」
「あれー、どしたのロジャーちゃん?まるで肺まででてきそうなくらい深ぁ〜いため息なんかついちゃって」
「あー、スフレねーちゃん?んーべつになんでもない…」
「なーんて、一応訊いたけど、なんでかは大体予想付いてるんだよねっ」
「あーなんだよそれ、それってオイラが単純だって言いたいじゃん?」
「違うよぉ、こー見えてもあたし、観察力はスゴイんだからね!」
「…ふーん」
「話戻すけど、ずばり、ネルちゃんのとこに行ったらアルベルちゃんに追い出された!んでしょ?」
「違うじゃんよ!」
「あれっ、違うの?ぜんぜん?」
「…半分くらいは合ってる」
「やっぱり。で、不正解のもう半分って、何?」
「…おねいさまのところまで行ったのは、当たってるじゃんよ。んで、バカチンプリンが一緒にいたってのも合ってる」
「ふーん、それで?」
「…バカチンプリン、寝てて。しかもおねいさまの膝枕vを占領してやがって」
「ふんふん」
「おねいさまの太ももむぎゅぅっと大事そうに抱えて幸せそーに眠りやがってぶつぶつ」
「…ちょ、ちょっとロジャーちゃん?ヒトリゴトになってる?おーい、お―――い」
「…はっ、違う世界へ行ってたじゃんよ。んで、オイラが思わずうぎゃー!って叫ぼうとしたら、ネルおねいさまにしーって言われて」
「それでそれで?」
「"疲れてるみたいだから、寝かせてやって"って、もうもうもうそりゃ聖母のようなお美しい笑顔でバカチンプリン見下ろしながら微笑まれて」
「ふむふむ」
「さらに頭なでなでしながらおねいさままで幸せそーな顔で〜…」
「ありゃりゃ、そりゃゴチソウサマ状態だね」
「追い出されたわけじゃないけど、そんな状況でそこにいれるほどオイラは忍耐強くないじゃんよ!だから自主的にこっちに来て落ち込んでたってわけ」
「ははぁ〜、なるほどねぇ」
「おねいさまにあんな顔で微笑まれちゃったらこんにゃろバカチーン!ってどつくわけにもいかないし、はぁぁぁ〜…」
「そりゃ確かに、いつもみたいにアルベルちゃんにケンカ売るわけにもいかないよねぇ」
「そうなんじゃんよほんとにもー。ああああ、バカチンプリンと代わりたいー」
「アルベルちゃんのポジションと、ってこと?」
「そうそう。ああああ悔しーけど羨ましいじゃんよちくしょー!」
「ふーん…。じゃあもしロジャーちゃんが、アルベルちゃんと代わったら、」



「あたしはネルちゃんと代わりたいなー、なんてね」



「へ?」
「えへへ〜」
「…それ、どーゆー意味、」
「そのまんまの意味だよっ」
「………」
「あっ、どしたの黙り込んじゃって?もしかして実は嬉しかったり?」
「…知らなかったじゃんよ」
「へ?」
「スフレ姉ちゃんって…、」



「あのバカチンプリンのこと好きだったじゃん!?」



「ち が――――うっ!
「へ?だ、だって今ネルおねいさまと代わりたいって」
「んもーっ、ちゃんと人のハナシ聞いてたー?あたしは、アルベルちゃんとロジャーちゃんが代わったんなら、ネルちゃんと代わりたいって言ったの!」
「うぇ?えーと、あいつとオイラが代わって、そのあと…え?」
「わかった?」
「ええ、え、だってネルおねいさまと代わりたいってことはつまりバカチンの事が」
「違う違う違う!」
「…?どーいう事じゃんよ?」
「…も、いいや」
「は?」
「わかるまでわかんなくていいよッ」
「?????」





「…ねぇフェイト」
「ん?」
「スフレちゃんの言いたかった事ってつまりさ、アルベルさんとロジャーが代わって、ネルさんとスフレちゃんが代わるってことだよね」
「あぁ」
「それって、スフレちゃんはアルベルさんとじゃなくて、ロジャーとらぶらぶ仲良しになりたい、って事だよね?」
「だよな。…でもロジャー、ぜんっぜん気づいてないっぽい」
「…うーん、スフレちゃんの言い方もちょっと微妙だったしね。スフレちゃん苦労しそうだね…」
「ま、とりあえず僕らは、暖かく見守ってあげることにしよう」
「そうだね」