It's raining cats and dogs.



「でーきた!癒しネコ!」
「…この癒しネコってソフィアに似てるね」
「えっ、そう?」
「ソフィア姉ちゃん猫っぽいもんなー」
「うんうん、猫に似ててカワイイよね!」
「ほらやっぱり、ソフィアは猫だろ」
「そうかなぁ?」
「それが一番ピッタリよね」
「じゃあじゃあ、あたしは?」
「スフレちゃんは…そうだな、兎かなぁ?」
「おっ、的確な表現だな」
「いっつもぴょんぴょん跳ねてるもんな」
「髪型もそれっぽいわよね」
「それに、兎って寂しいと死んじゃうんだろ?だったらやっぱりピッタリじゃん」
「ロジャーちゃん、それどういう意味よ!」
「さーぁなっ」
「そう言うロジャーちゃんはそのまんまで狸だよね!メノディクスは狸が先祖って聞いたし」
「そうかぁ〜?こいつ、猫でもいけると思うぜ。こいつ、女の前ではひどい猫かぶりするだろ?」
「失礼じゃんかデカブツ!ただ敬意を払ってるだけじゃんよ!」
「敬意なんて範疇を超えてるだろーが、お前の場合!」
「なんだと!」
「なんだよ!」
「やれやれ、また始まったわね」
「今の見て思ったけど…うーん、クリフは猪かなぁ」
「イノシシ?」
「うん。猪突猛進ですぐにつっかかるし、思い込んだら一直線って感じじゃないか?止められない止まらない〜って感じ」
「言えてるー!フラッシュチャリオットを敵がいないところでばばばばーってやってる時とか!」
「あぁ、アクロバットローカスを何もいないところで空しくやってる時とか?」
「……」
「熊でもいけると思うわよ」
「あ、言えてるじゃんよ!」
「なんだとチビタヌキ」
「だって無駄にでっかいし、イビキとかめっちゃくちゃうるさいじゃんか!」
「…君の歯軋りもそう変わらないよ、ロジャー。じゃまぁ、クリフは猪または熊ってことで」
「…なんか、俺のイメージってそんなんばっかなのか?」
「「「「「うん」」」」」
「………(涙)」
「じゃあ僕は?」
「フェイト?…うーん、狐じゃない?」
「狐〜?なんでまた」
「フェイトちゃんは犬って感じじゃない?」
「そう?フェイトに狐、って結構合うと思うけど」
「だな。俺もそう思うぜ」
「どうしてさ?」
「…いや、笑顔がなんか企んでるっぽいというか…」
「そうそう!お腹に一物抱えてますって感じ!」
「非道いなぁ…それを言うなら僕と双子のマリアだって狐じゃないか」
「マリアさんは…銀狐、って感じですよね」
「うんうん、すらっとしててカッコいいもんね!」
「…なんか僕の表現とえらい違いじゃないかい?」
「でもそんなイメージなんだもん」
「………」



がちゃり



「買出し終わったよ」
「あらネル、それにアルベル。ご苦労様」
「…なぁ、何でいつもいつもいつも俺とこいつが買出しなんだ?」
「そーだそーだ!なんでおねいさまとプリンばっかが!」
「だって今日は細工と機械をやるって決まったじゃないか。ソフィア・スフレ・ロジャーで細工だろ、僕・マリア・クリフで機械。そうすると、ネルさんとアルベルが余っちゃうのは仕方ないじゃないか」
「(…フェイト…相変わらず誤魔化すのが上手いなぁ…やっぱり狐だよね)」
「何か言ったかいソフィア」
「ううん、なんにも?」
「ところで、何の話で盛り上がってたんだい?工房の外まで声が聞こえてたよ」
「あぁ、パーティのみんなを動物に当てはめるとどうなるか?って話をしてたの」
「動物?」
「そう。例えばソフィアなら猫、スフレなら兎、とかってね」
「ネルさんは何かなぁ?」
「うーん、犬、って感じしないか?」
「…そうかい?」
「そうね。なんて言うのかしら、きりっとしてるって言うか」
「そうそう。精悍さがあるよね」
「あと、真面目でしっかりしてるところとか犬っぽいですよね!クリフさんと違って!」
「…酒くすねたことまだ怒ってんのかよ」
「え?そんなことありませんようふふふふー」
「ってひ弱な鉄パイプを構えるのはやめてくれ!」
「…彼女、フェイトに似てきたわね」
「(さらりと流して)アルベルはどう思う?やっぱりネルさんは犬っぽいなぁって思う?」
「あ?…犬でいいんじゃねぇの」
「やっぱり?じゃあどの辺がそう思うの?」
「生真面目、任務馬鹿、主人に従順、敵対したヤツには攻撃心警戒心むき出し」
「………。否定はしないというかできないけどさ…」
「じゃあ、ネルさんはアルベルさんのことどんな動物に似てるって思いますか?」
「…猫かな?」
「あぁ?」
「だってねぇ。気まぐれだし猫舌だし寒がり兼暑がりだろ。あと…その二つの尻尾とか」
「尻尾じゃねぇ!」
「あぁ、確かにアルベルさんてネコっぽいですよね」
「…ソフィア。今ネコってカタカナで言わなかったかい?」
「え?何のことかなぁ(ニコリ)」
「まぁ、否定はしないけどさ(ニヤリ)」
「…あんたら、何の話してるんだい?」
「「気にしないでくださいv」」
「…まぁ、いいけどさ。そういえば、クリエイションの途中だったよね。私は何を手伝えばいいかな?」
「あ、じゃあネルさんとアルベルは鍛冶でよろしくお願いします」
「…。(相変わらずだなぁ、フェイト)」



「ちょっとあんた、手止まってるよ」
「休憩だ、休憩」
「はぁ?まだ始めたばかりじゃないか。堂々とサボるんじゃないよ」
「…いいじゃねぇか別に」
「あのね、ただでさえクリエイションってのはコストがかかるんだ、それもあるってのに時間まで無駄にする気かい」
「うるせぇな」
「うるさいって何さ、本当の事言っただけじゃないか!」
「すぐ始めるっての!」
「じゃあ今始めなよ!」
「…だから、休憩っつってんだろ!」
「…あんた人の話聞いてたのかい!?」



「ありゃりゃ、また始まった」
「…It's raining cats and dogs.」
「へ?今なんて言ったのマリアちゃん?」
「猫と犬、で思い出したの。"どしゃぶりの雨"っていう諺よ。まぁ、犬猿の仲とでも言い換えれば分かりやすいかしら」
「へぇ〜…。確かに、見た目は犬猿の仲だよね、ネルちゃんとアルベルちゃん」
「猫っぽい人と犬っぽい人って、やっぱり表面上は相性悪いんですかね?」
「まぁ、あくまで表面上だけ、だろうがな」
「なんでお前がそんなことわかるんじゃんよデカブツ」
「おら、あの二人見てみろよ」



「すぐ再開するっつの…」
「…なんでそこまで休憩したがるんだい…、…あっ!?あんた、腕に怪我してるじゃないか!」
「………」
「こんな腕で平然と買い物して荷物持ってたのかい!?どうしてすぐに治さなかったのさこの馬鹿!」
「…いいじゃねぇか、別にこんくらい」
「どこがこのくらいなんだい!ちょ、今すぐ治療するからじっとしてな!」
「………」
「…あぁもう、どうしてこんな怪我放っとくのさ…。気づかなかった私も馬鹿だけど、あんたはもっと馬鹿だよ」
「………」
「あんまり心配、かけさせるんじゃないよ」
「…。悪かった」
「…これからは、ちゃんと言うか、自分で治療するかするんだよ。まったく、あんたと一緒にいると心臓がいくつあっても足りやしない」
「…あぁはいはい」





「ほらな。表面上、ぎゃんぎゃんケンカしてるが落ち着くところはいつもあんな感じだろうが」
「…確かにそうじゃんよ」
「本当は仲が良いんですよねv」
「It's really the calm after the storm.」
「?? 今度はなんて言ったの?」
「"雨降って地固まる"。ごたごたした事とかの後は、前よりも事態が良く収まるっていう諺」
「…あの二人に捧げたい諺だね」
「でも、そっちのほうがネルちゃんとアルベルちゃんらしいよねっ!」
「うんうん、どしゃぶりの雨みたいなケンカしても、ちゃんとその後は仲良く収まるもんねv」
「そう思うと猫と犬、って。言い得て妙だね」
「だねv」