白い光に包まれていた。 それに気づいた直後、意識が途切れる。 Someday,Someplace 「大丈夫ですか?」 そう声をかけられて、はっと目を覚ました。 ぱちり、と開いた目に映るのは、長い黒髪の少女。こちらを心配そうに伺っているようだった。 同時に触覚も冴えてきて、背中にごつごつした地面、額に冷たいタオルか何かの感触がする。 どうやら私はどこか地面の上で寝ていたようだ。いや、倒れていたのだろうか? とりあえず起き上がり、でもまだ状況がよく掴めなくて辺りをきょろきょろと見回す。 「えっと…貴女、はこの森に倒れていたんですよ」 「…そうなのかい?」 黒髪の少女にそう言われて、我ながら間の抜けた返事を返してしまった。 「はい」 こくりと頷いた黒髪の少女が、口を開く。 そう言われても、直前の記憶がまったくない。 とりあえず、心配してくれていたらしい少女にぺこりと頭を下げる。 「この、額のタオルはあんたが載せてくれたんだよね?ありがとう」 「どういたしまして」 少女が笑った。 よく見ると、少女は私と同じで菫色の瞳をしていた。でもシーハーツでは珍しくないので、特に気にも留めなかった。 それにしても、ここはどこで、私は何故倒れていたのだろうか。 それに常に仲間と一緒に行動していたのに、周りには黒髪の少女以外に誰の気配も…。 と、周りの気配に神経を張り巡らせた瞬間、誰かが近づいてくる気配がした。 がさり。 後ろの茂みが揺れて、同時に人の気配。 「あ、気がついたみたいね!」 「よかったー」 高くて可愛らしい声が二人分聞こえて、振り向くとそこには小さな子供が二人。髪の長さは違うけど二人とも赤毛で、年も同じくらいだった。 双子かな?と思った矢先、二人の瞳の色を見て驚いた。 誰かに、とてもよく似た。真っ赤な瞳をしていた。 「………」 「大丈夫?どこか痛いところとかない?えーっと、お姉さん」 黙ったままの私に、赤毛を肩のあたりで揃えて切っている子が声をかけてきた。 「うん、大丈夫だよ」 とりあえず、不可解な点も多いけどそう答えてにっこりと笑う。 「あぁ、そういえば自己紹介がまだでしたね」 黒髪の少女が呟いて、にこりと笑う。 「私はラナ。それと、こっちの二人は私の三つ下の弟と妹です」 「こんにちは、リコリスでーす!よろしくね」 「俺はクラスター。リコリスと一緒にいるとよく間違われるんだけど、れっきとした男だよー」 そう自己紹介されたので、私も自然な流れで名乗った。 「私はネル。よろしくね」 つもりだったのだが、私が名乗った瞬間、三人の表情が一瞬だけ固まって、 「…ほんとだったね!」 「ほんとだったな!」 リコリスとクラスターが顔を見合わせて楽しそうにそう言い合う。ラナは訳知り顔でにこにこ微笑んでいた。 不思議そうな顔をしていると、慌てたようにリコリスが口を開く。 「あぁ、なんでもないよ!ごめんね、こっちのハナシだから!」 「…?なんだい、それ?」 「ひーみーつ」 疑問に思って問い掛けると、今度はクラスターが人差し指を立てながらそう言ってにぃっと悪戯っぽく笑う。 その表情が、誰かに似ていた。なんとなく違和感を覚える。 それに、目の前の双子の髪の色は、…私の髪の色にそっくりに見える。 気になったので訊いてみた。 「その髪は、地毛かい?」 「え、これ?うん!あたしのお母さんゆずりの赤毛だよ」 「………」 不思議だ。シーハーツでもアーリグリフでも、赤毛は結構珍しいはずなのに。 「そんでそんで、俺とリコリスのこの瞳はお父さんゆずり。なー、リコリス」 「ねー」 「………」 ますます不思議だ。シーハーツでもアーリグリフでも、赤目は結構珍しいはずなのに…。 陛下と、…あの誰かさんくらいしか思い浮かばない。あと誰かさんの母親と。 「ふぅん…髪も瞳も紅い色、って、珍しいね。すごく綺麗」 そう正直に言うと、二人は照れたように笑う。 「えへへ、でしょでしょ?お母さんとお父さんもね、紅い目と紅い髪にちなんであたし達の名前つけてくれたんだって!」 「名前?」 「うん」 リコリスが頷く。 「あたしの名前もクラスターの名前もね、紅い、綺麗なお花の名前からとったんだって」 「紅い花…」 真っ先に、父さんの墓の周りに咲き乱れる紅い花が思い浮かんだ。 でも、あの花はリコリスとかクラスターって名前ではないので、違う花なんだなと思い直す。 あの花はそんな可愛らしい響きの名前ではなかった。死人花という別名があるくらいの花だから。 まぁ紅い花なんて数え切れないくらい種類があるし。 「へぇ、そうなんだ。それは知らなかったな、あまり花には詳しくないからさ」 「ん、そりゃそーだと思うぜ。だって、ここじゃない、他の場所の言葉らしいから」 「え?」 「なんかね、お父さんとお母さんの大切な友達の住んでた場所の言葉なんだって」 「ふうん…」 そう呟くと、今まで黙っていたラナが口を開いた。 「私の名前も、花の名前からとったんだそうです」 「あぁ、そうなのかい?」 「はい」 にこり、とラナが微笑む。 「お父さんとお母さんが、昔世話していた猫の名前を、違う場所の言葉にしたものからとったそうです」 「え、猫?」 「はい。その猫の名前も花の名前だったみたいです。あと、お父さん譲りの私の髪の色と、その猫の毛色が同じだったそうで」 「………」 「私が生まれた日が、その花が満開になる季節だったのもあるみたいです」 「………」 花が、満開…。春? 春に咲く花で、昔飼っていた猫の名前と同じ…。 思わず思案に暮れていると、ラナが小さくぽつりと呟くのが聞こえた。 「…そろそろかな」 「え、何がだい?」 「あっ、いえ、こっちの話です」 また、さっきと同じように誤魔化されてしまった。 先ほどから感じる違和感と言い、どこか様子がおかしいこの子達といい、不思議な事ばかりだ。 …と、それよりなにより、ここはどこで、私はどうしてこんなところにいるのだろう。 見たところ森の中のようだけど、こんな森に見覚えはない。なんとなく、シランド付近の森に雰囲気が似ている気がするけれど。 「あの、」 ラナが声をかけてきた。 「なんだい?」 「あんまり、ケンカしちゃだめですよ」 「は?」 ラナはにこにこ笑っているだけだ。 「なんでもないでーす。じゃあ、そろそろ行こうか、二人とも」 ラナはそう言って、急に立ち上がった。後ろの双子もすぐに立ち上がる。 「どこかに行く途中だったのかい?」 「はい。おじいちゃんのお墓参りに行く途中です」 「そっか…ごめんね、時間を使わせちゃって」 「いいんですよ。それに、お墓はすぐそこですから」 「…ってことは…。もしかして、ここはシランドの森かい?」 「そうですよ」 やはり、雰囲気が似ていると思った。 周りに視線をやっている私に、クラスターが話し掛けてきた。 「一緒に行く?」 「えっ?」 「おじいちゃんのお墓、周りに紅い花がたくさん咲いててすごく綺麗なんだ」 「え…」 墓の周りに。 紅い、花? それって…。 目を見開いたままの私に、今度はリコリスが楽しそうに笑いながら口を開いた。 「あたしとクラスターの名前の、由来になった紅い花だよ」 「………」 無言になる私に、立ち上がった三人はにこにこ笑いながら手を振った。 「それじゃ、私たちはこれで」 「あ、あぁ」 そう言いながらぺこりと頭を下げ、背を向けて森の奥へ三人は歩いていった。 私は少々混乱した頭のまま、その後姿を見送っていた。 木々で邪魔されて三人が見えなくなる直前、くるりとラナがこちらを振り返る。 「大丈夫です。もうすぐ、貴女のもといた場所に帰れますよ」 「えっ?」 思わず聞き返すと、ラナはまたにこりと笑って、手を振った。 「また逢いましょうね、お母さん!」 ―――!? 驚愕して目を見開いて。 そこで、急に白い光に包まれて、視界が真っ白になった。 「―――ル、ネル!大丈夫、しっかりして!」 聞きなれた声が聞こえて、はっと目を覚ました。 ぱちり、と開いた目に映るのは、青髪の少女。こちらを心配そうに伺っているようだった。 同時に触覚も冴えてきて、背中につるつるした床、額に冷たいタオルか何かの感触がする。 よく見ると、青髪の少女の周りには、私を覗き込んでいる仲間達の心配そうな顔があった。 むくりと起き上がると、傍にいた青髪の少女がほっとしたように息を吐いた。 「良かった…気がついたのね」 「マリア…?えっと、私、は…」 どうやら私はどこか地面の上で寝ていたようだ。いや、倒れていたのだろうか? とりあえず起き上がり、でもまだ状況がよく掴めなくて辺りをきょろきょろと見回す。カラフルな光と色彩が目に映った。 そこはどうやらジェミティの、端末?とかいうエリクールに繋がる部屋のようだ。 「大丈夫ですか?意識ははっきりしていますか?体は、きちんと動かせますか?」 マリアの隣にいたソフィアが心配そうに問い掛けてきて、私はこくりと頷いた。 「あぁ、大丈夫だけど…一体何があったんだい?私はさっきまで、どこかの森みたいなところにいたような気がするんだけど…」 「あぁ…そのことなんだけど」 マリアが言って、隣のソフィアに視線をやる。それを受けてソフィアが口を開いた。 「スフィア社の端末に何かバグが発生したみたいで、エターナルスフィアに繋いでエリクールに転送する時、ネルさんだけ違う場所に転送されちゃったみたいなんです」 「バグ…?」 あぁ、何か問題が発生したっていうことか。と適当に解釈して、視線で続きを促した。 「そのバグが修復されるのを待ってから急いで端末に戻ってきて、スフィア社の管理者ページにアクセスしてそこからネルさんをこっちに転送し直したんですけど、ネルさん気を失ってて目を覚まさなかったんです」 「良かったわ、本当に。一時はどうなることかと思ったもの」 そう言って安堵の表情を浮かべる二人の説明で、なんとか状況を理解したものの。 まだ疑問に思っていることがあった。 「…あのさ」 「何ですか?」 「私が、えっと、間違って転送されてた、っていう場所ってどこか…わかるかい?」 「あぁ、えーっと…どこだったっけフェイト?」 ソフィアが後ろにいたフェイトに顔を向ける。 「エリクールのどこか、って事はわかるんですけど、場所までは…」 「そうかい…」 シランド、と言われていたのだから、おそらくはその通りなのだろう。 ならあの場所で出会ったあの子達は、偶然母親が赤毛で父親が赤目で、これまた偶然にも祖父の墓が紅い花に囲まれている場所に建っていただけ? 確かに私もシーハーツの全ての民の顔をや全ての場所を知っているわけではないし、そんな偶然があるのかもしれない。 そう、納得しようとしたら、 「あぁ、それとどうやら、約十年後のエリクールに転送されちゃったみたいですよ。不思議なものですよね、未来に飛ばされるだなんて」 「―――え…」 十年後……。 「エターナルスフィアって、未来にも行けるのかな?じゃあ、消そうとしてるルシファーってお馬鹿さんだよねー」 「おっ、それは言えてんな。未来があるっつぅことは、俺達は消されねぇってことだしな」 「だったら、本当にエターナルスフィアはスフィア社から独立することができるのかもしれないわね」 「だとしたら、きっと僕らのお陰だよな。エターナルスフィアの崩壊を止められるのは、僕らだけなんだから」 そんな風に会話をはじめた仲間達の後ろ、今まで一言も口を開かなかった彼が目に映る。 しばらくぼんやりと見ていると、視線に気づいたらしくこちらに顔を向けてきた。 「…何だ?」 紅い瞳がこちらを見た。 「………」 少し前に会った双子の瞳の色と、やはり似ていた。 「…いや、別に大したことじゃないんだけどさ…」 「ネル、どうしたの?まだどこか調子悪い?」 歯切れの悪い私に気づいたのか、マリアが声をかけてくる。 「いや、大丈夫だよ。心配かけちまったみたいだね、私はもう平気だから」 とりあえずそう答えて、立ち上がる。 「良かった。じゃあ、予定通りエリクールへ向かいましょうか」 マリアがそう言って、端末?のパネルを操作し始める。 その背中を見ながら、やっぱり私は先ほどの出来事の事を考えていた。 エリクールに着いて。 どうやら私に気を遣ってくれたようで、マリアはすぐにディプロへ戻って何某かの検査をしてくれた。 何も異常はない、と判断が出て、でも本調子じゃないでしょうから、と今日は一日ディプロで過ごすことになった。 割り当てられた部屋に行って、私はベッドの上に膝を抱えるように座って。 ぼんやりと、考えた。 この。 言いようのない疑問を解決するには、どうしたらいいだろう。 もしかしたら赤の他人かもしれない。でも。こんな偶然ってあるのだろうか。 何か手がかりはないか。あの子達が言っていたことを思い出す。 ―――だって、ここじゃない、他の場所の言葉らしいから。 ―――お父さんとお母さんの大切な友達の住んでた場所の言葉なんだって。 「………」 もしかして。 ゆっくりと荷物に手を伸ばして、最近何とか使い方を覚えたばかりのくぉっどすきゃなとやらを取り出す。 フェイトから、何かわからないことがあったらこれで調べてください、と、こみゅにけーたー、というヤツと一緒に手渡されたものだった。 これなら、フェイト達の世界の言葉を調べられた、はず。 電源を入れて、"検索"と書いてあるボタンを押す。悪戦苦闘しながらあの花の名前を打ち込んで、決定。 すぐに現れた画面には、綺麗な紅色の花が映し出される。 その画像の下には、説明書きなのか何か書いてあった。 ―――彼岸花 分類:彼岸花科リコリス属 学名:リコリス・ラジアータ 和名:彼岸花 英名:クラスターアマリリス 「………」 思わず、無言になって。 まさかと思いつつ、私が知る昔世話をしていた黒猫の。 …その黒猫が死んでしまってからつけた名前の、由来になった、あの木の名前を検索してみた。 ―――彼岸桜 分類:薔薇科サクラ属 学名:プラナス・サブハーテラ 和名:彼岸桜 英名:ラーズバードチェリー 「………嘘…」 呆然としながら、呟いた。 まさかと思っていた事が真実だったと知って、顔が赤くなった。 黒髪で、赤目で。 赤毛で、菫色の目で。 あの紅い草原に身内の墓があって。 フェイト達の言葉を知り得る人物なんて。 エリクール中探したって。 他に、いないじゃないか。 「…何やってんだ」 「うわぁぁっ!」 急に背後から低い声が響いて、思わず両肩を跳ね上げて驚いてしまった。 同時に口からもひっくり返った声が飛び出て、慌てて手で抑える。 振り向くと、いつの間に部屋に入ってきたのか彼がいた。 「な、な、な、あんた、いつの間に…」 「何驚いてやがる?俺は気配消してなかったし、部屋入る時声もかけたぞ」 「あ、ご、ごめん…ちょっと、調べ物してて」 言いながら、さりげにくぉっどすきゃなの電源を落とす。 「お前がそれで何か調べるとは珍しいな」 「あ、うん、まぁね」 「何調べてたんだ?」 「………」 言えるわけない。 いや、言ったところで、実際あの子達に会っていない彼がわかるわけもないのだけど。 でも。 「別に、あんたには多分説明してもわからない事だろうから。気にしないで」 なんとか平静を装ってそう答える。 彼は不思議そうな顔のまま、しばらく首をかしげていたが。 「…お前、」 「な、なに」 「いや、何か様子がおかしくねぇか」 「………」 彼の台詞に、再び押し黙ってしまう。 何かを言わなければ、と思って口を開こうとしたとき、 「!!」 「やっぱり調子悪いんじゃねぇのか。バグとやらの影響で」 彼の顔が目の前にあった。 彼としては、様子のおかしい私の顔をただ単に覗き込んだだけで。 それは何気ない、自然な動作で。 私だってよく彼にそうするし、彼も私によくするような。 そんな、普通の事だったのだけれど。 彼の。 深い紅の瞳と。 さらりと揺れる、毛先は色素が抜けているけれど夜空のように黒い髪が。 少し前の出来事を思い出させて。 「〜〜〜っっっ」 顔に血が集まった。 急いで顔を逸らすが、彼には見られてしまっただろう。不覚。 「? おい、本当にどうし、」 「なんでもない!なんでもないから!」 「…お前がそこまでムキになるなんざ、何でもなくねぇだろ」 「だから大丈夫だって…、!」 「怪我でも隠してんじゃねぇだろうな」 「とか言いながらどこに手ぇ入れて…!、ぁっ、」 「お前が口割ろうとしねぇから確かめてんだろが」 「や、ちょ、やめなったら!本当になんともないから!」 「信用ならん」 「んっ、もっ、本当、いい加減に…!」 彼女が思わず拳を握り締めたとき、 ―――あんまり、ケンカしちゃだめですよ 頭の中で、声がした。 「………」 思わず、文句を言おうとした口が止まり、殴ろうとした手が止まった。 急に大人しくなったのを、彼は都合よく解釈したらしく。 「初めから大人しくしてりゃいいんだよ」 戦闘時にはどこまでも凶悪に響く台詞が、妙に甘く耳に響いて。 何か言う前に唇を落とされた。 その後は、いつも通り。 ―――あぁ、これだけ襲われていればやむを得ないと言うか。 むしろ当然の結果と言うか。 将来子供ができても不思議ではないのかもしれないとか。 当然のように思ってしまってなんだかむず痒くなった。 無抵抗なのをいいことに、好き勝手に肌をまさぐってくる彼の手に声を上げそうになりながらも、それは彼を喜ばせるだけとわかっているので。 意地で平静を装って、口を開く。 「…三つ違いってことは約二年間が空いたのか…」 「…は?」 ぴた、と手が止まり、同時に彼の顔が向けられる。 「たまたま時期が合わなかったのか、それともお互い仕事が忙しくなったのか…」 「何の話か」 「ん。ちょっとね。恐らくはごく近未来であろう仮定の話を」 「………?」 不思議そうな顔が覗いてくる。 先ほどまでの意地悪い表情とは百八十度変わっているその顔に、つい笑みがこぼれて。 「またいつかあんたにも話してあげるよ」 「…いつかっていつだよ」 「さぁね。…ねぇ」 「なんだよ」 「私とあんた、きっといつまでもケンカばかりしてるんだろうねぇ。呆れられるくらいに」 「…はぁ?」 やはり不思議そうな顔をする彼に、笑って見せて。 「でもそんな未来もイヤじゃないよ」 「は?」 「―――また、いつか、話してあげるから」 その場に。 黒髪の少女と赤毛赤目の双子が隣で訳知り顔で笑っていてくれれば面白いなと。 そんなことを思って、彼女は笑った。 |