「ねーねーアルベル、ネルさんって"ツンデレ"?」
「…は?」
「おいおいフェイト、いくらなんでも通じねぇだろエリクールの奴らには」
「あぁそうか。ごめんごめん、えーとねツンデレって言うのは性格の一種でいろいろ定義があるみたいなんだけど、この場合は好きな人相手にデレデレした態度を取らないようにって逆にツンツンした態度になる天邪鬼さんみたいな感じ?」
「…」
「代表的な例はアレだな、"べ、別に、あんたの為に作って来たんじゃないんだからね! ついでよついで!"っつってどう見てもついでには見えねぇ超手の込んだ手作り弁当差し出してきたりとかな」
「そうそう、そんな感じ」
「…お前らはあいつが俺にそういう態度で接してるように見えるのか」
「いやさすがにさっきのは極端な例だけどよ、でもよく戦闘終了後に"別にあんたが心配なわけじゃなくて、足手まといになられたら困るだけだよ"っつってネルがお前に回復魔法かけてんじゃねーか」
「他にもそういう、恋愛絡みの性格の傾向?みたいなものあるんだけどねー。クーデレとかヤンデレとか」
「なんだそりゃ」
「クーデレはそーだな、普段クールで感情の起伏が乏しいキリっとしたタイプなのに恋人の前ではたまにデレるヤツの事で、ヤンデレは好きな相手の為ならどこまでも盲目的に突っ走っちまうヤツの事だな」
「クーデレっぽいかなーとも思ったんだけどねー。ネルさんはどっちかって言うと一番ツンデレに近いかなーと」
「…んな事知るか」
「おいおいそりゃねぇだろ、少なくとも俺らよりかは知ってんじゃねぇか」
「っていうかお前、知らないんじゃなくてただ単に答えるのが面倒ってだけだろ。相変わらずノリ悪いなーもー」
「答えたところで俺になんの利益があるっつうんだよ」
「損得どうこう言う話じゃなくて、ただそういう話題になったから訊いてみただけじゃねーか」
「そーだよ、別に聞いたところでふーんそうなんだ、って思うだけだし。ちなみにねー、ソフィアはツン20%デレ80%くらいのツンデレだよー」
「誰も訊いてねぇよ」
「ミラージュはそうだな、クール90%デレ10%くらいのクーデレだな」
「…それってクーデレかどうか疑問だけど、まぁいっか。ほら、僕達も言ったんだからアルベルも答えてよ」
「…んじゃ、ツンデレとやらだっつぅことにしとけよ」
「しとけってのがひっかかるが、ほー、やっぱりそーか」
「だよね〜ネルさんはどれかって言うと一番ツンデレっぽいよね。ってことはアルベルはツンデレさんが好みなんだ?」
「は?」
「まぁ意外っつぅほどでもねぇよな、こいつ多分デレデレタイプはウザがりそうだし」
「クーデレとか素直クールとかも好きそうだよねー。でもこいつ自身ツンデレっぽく見えるし相性いいのかも。ふーんアルベルはツンデレ派かぁ」
「…別に」
「照れんなって。別に悪いっつってるわけじゃねぇんだしよ」
「そーそー、僕もツンデレいいと思うなー。可愛いよねツンデレさんって」
「違うっつってんだろ」
「いや、違わねーだろ。それにお前、さっきは別にっつっただけで違うなんて言ってねーじゃねぇか」
「別に否定する程の事でもないと思うけど。人の好みなんてそれぞれだし、変ってわけでもないのに」
「…俺は別にツンデレとかいう性格が好みっつぅわけじゃねぇよ。たまたまあいつがツンデレ?だったってだけだろうが」
「………」
「………」
「…何だよ」
「やー、うん、別に?」
「あー、まぁ、何でもねぇよ」
「…自分等から訊いておいて何なんだお前らは」



この世に卵が存在したとしても、鶏が生まれるとは限らない