「ネルさんネルさん、アルベルさんって"ツンデレ"ですか?」
「…へ?」
「ソフィア、いくらなんでもそれじゃわからないわよ」
「あっそうですよね、すみません。えーとですねツンデレって言うのは、性格の一種で普段は素っ気無かったりつんつんした性格なのに、好きな人の前ではちょっと素直になってデレデレする人の事です!」
「…えーと」
「そうね、何か具体例があると分かりやすいかもしれないんだけど…」
「あっ、じゃあ代表的な例を挙げると、"別にお前が重そうだったからじゃなくて、俺が運んだ方が早いからだ"って、重い荷物半分以上持ってくれたりとか!」
「…いや、そりゃたまにあいつもそういう所あるけどさ。でもそれって本当にそうした方が能率的だからってだけだろう?」
「…そうでもないと思うけど…。アルベルがほんの少し不憫に思えたわ」
「え、えぇっと、でも実際、ツンデレっぽい傾向はあるわけですよね?」
「うーん…。あんた達がそう言うんならそうなんじゃないかい?」
「あぁでも、確かアルベルってさらっととんでもない事言う事が多いんでしょ? だったら私はどちらかと言うと素直クールにも見えるけど」
「わぁ、そう言われてみるとそうですね! あっ、素直クールって言うのは、見た目はクールっていうか普通な顔してるのに愛情表現はストレートな性格の事なんですよ」
「…うーん…。まぁ、確かにつんでれ?よりはそっちに近い気もするね」
「あなたもそう思う? ならアルベルは素直クール決定かしら」
「うーん、アルベルさんツンデレっぽいなぁって思ってましたけど確かにそっちかもしれませんねー」
「いや、定義の仕方がまだよくわかってないし、実際の所はどうかわからないけどね。じゃあフェイトやクリフはどれに当てはまるんだい?」
「フェイトですか? そうですねー、フェイトは…。えーと、腹黒サワヤカ?」
「…そんな形容があるのか気になるけれど、真っ先にそれが出てくる辺りが怖いわね…。まぁ、外れてはいないんでしょうけど」
「ええっそんな本気にしないでください、冗談ですよ冗談ー。…半分くらい」
「…半分は本気だったんだね」
「それはそうと、クリフはアレしかないわね。ヘタレ」
「ああでもキメる時はキメる!っていう良い意味でのへたれだと思いますよ」
「そうかしら? まぁ…いざって時には頼れる事もあるみたいだけどね」
「ふぅん…いろいろな定義があるんだね」
「いえ、定義っていう程大げさでもないですけどねー。それにしても、ネルさんの好きなタイプが素直クールってちょっとびっくりでした〜」
「そうね、確かに少し意外だったかも。まぁ好きになった人イコール好きなタイプ、ってわけじゃないんでしょうけど」
「うーん、そういう事はあまり考えたことがないからよくわからないかな」
「ええー、でも深く考えた結果とかじゃなくても、自分ってこういう人が好みなのかな〜っていうのは自然に思い浮かびませんか?」
「あら、でも意外に難しいわよ。こういうタイプがいい、って断定するのって」
「うん。…まぁ、あいつの性格の定義が素直くーるっていうヤツなら、私は多分素直くーるっていうのが好みだって事になるんだろうけど」
「………」
「………」
「…え? どうしたのさ」
「あっ、いえいえ、何でもないです!」
「ええ、気にしないで」
「? そうかい?」



この世に鶏が存在したのならば、卵もいずれ誕生する