「ねぇフェイト、フェイトはにわとりと卵どっちが先に生まれたと思う?」
「へ? …あぁ、鶏は卵からひよこが生まれてそこから成長しなきゃ生まれないけど、その卵は鶏が産まなきゃ存在しないっていう話?」
「そう。昔から堂々巡りで決着のつかない話だけど、一応鶏派にも卵派にもきちんとした答えは出せるんだよね。どちらを信じるかは人次第だけど」
「何でまたいきなりそんな話しだしたんだ?」
「えっとね、あんまり関係ない話になんだけどさっきネルさんに"アルベルさんってツンデレですか?"って訊いたんだよね」
「あー、もしかしてソフィアも見たのか? ちょっと前に映像配信されてた『完全恋愛傾向マニュアル』」
「見た見た、あれ面白かったよねー! なんだフェイトも見たんだ」
「うん、ディプロで休憩中ヒマだったから。なーんだ、ソフィアも見てたんなら一緒に見れば良かったよ」
「それなら話が早いね。マリアさんと一緒に見てたから好みとかの話題になったんだけど、ネルさんは見てなかったみたいだから話題振ったんだよ」
「ぐうぜーん、僕達もさっきアルベルに訊いたんだよ。"ネルさんってツンデレ?"って」
「えーほんと? んで、アルベルさんは何て?」
「なんだったかな、ネルさんはツンデレっぽいって事になって、ならアルベルはツンデレ派なんだなーって言ったら"ツンデレが好みなんじゃなくて、たまたまあいつの性格がツンデレだったってだけだ"だってさ」
「へー! あ、ネルさんもね、ある意味正反対なんだけど似たような事言ってたよ」
「え、何て何て?」
「うふふー、それがねネルさん可愛いんだよ! 結局アルベルさんは素直クールに近いって事になったんだけど、ネルさんって素直クール派なんですねって言ったら"アルベルの性格が素直クールなら、私は素直クールが好みだっていう事になるね"って!」
「へー。確かに一見全然違う事言ってるけど、実はちょっとばかし似たような事言ってるな二人とも」
「でしょでしょ? ネルさんの発言は"好きになった相手がタイプ"って言ってるようなものだし!」
「なるほど、それでにわとりと卵の話になったんだ」
「そうそう。人って好みだったから好きになったのか、好きになったから好みになるのかどっちなのかなーって話。私は好みだったから好きになる方が多いのかなって思ってたんだけど、ネルさんの場合後者なんだなぁって」
「うーん、アルベルの場合はどちらとも言えないかなー。どっちが先だとか言う話じゃなかったし」
「うんうん。だって要約してちょっと補足すると、"好みの性格だったから好きになったわけじゃない"って事になるよね」
「まぁ、どちらかと言うと後者じゃないか? …あーいやでもちょっと違うか。中立もしくはどちらでもないって事で」
「こう考えるとあんまり似てないね、お二人が言った事って」
「ん、…あー、確かに。でもさ、多分あの二人にとっちゃそんな事どうでもいいんだろうし」
「…。うん、そうだね。私達であれこれいろいろ言っちゃったけど、実際お二人にとってはそんな事気にする必要、ないんだろうね」
「だよなー。理由がどうあれ多分あの二人気にしないだろうし」
「ねー」



鶏が先でも卵が先でも、関係なくこの世に卵と鶏は存在する