ネルの日記vol.3(現在使用中)より ×月○日(宇宙歴換算772年12月17日) 晴れ 白い雪が舞い落ちる季節になってずいぶんと経った、ある日のこと。 私はいつものように夜明けとともに目を覚ました。 体をほぐすように軽く伸びをして、ベッドから起き上がる。 「…あれ?」 枕元に置いてある"通信機"が、いつもと違う画像を表示していたのに気づいたのはその時だった。 A secret message is... つい先日、創造主との戦いを終えて、自分達の星へ帰っていったフェイトが、 「何かあったらこれで電話なりメールなりしてくださいね。そっちに遊びに行くときはコレで連絡入れます」 と言って置いていったものだ。ちなみに簡単な機能なら何とか使えるようになった。 いまだに原理はよくわからないけど、とてつもなく便利な物だというのは理解できる。 まだ使い慣れない通信機の画面には、"新着メールが届いています"の文字。 メール?あぁ、手紙のことか。 そう思い、さっそく開けてみた。 「…花の写真みたいだけど…。あ、これたんぽぽじゃないか」 そこに表示されたのは、見慣れた花の写真。 春になると近くの草原に咲き乱れる黄色の小さい花だった。 どうやら写真を撮ることに慣れている人が撮ったらしく、ピントもずれていない。 それに光の加減を考慮して撮ってあるらしく、ただの花の写真とは思えないほど綺麗な仕上がりになっている。 私じゃこんな写真絶対撮れない。 送信者は…非通知? 私のアドレスを知ってるのは一緒に旅した七人だけだし…一体誰だ? ついでに件名を見てみると、「グリーティングカード」とだけ書かれている。 …グリーティングカード?…あぁ、確か挨拶状みたいなものだったっけ。 「綺麗だね…。でも、なんで私に送られてきたんだろう」 私は首を傾げながら、通信機を元あった場所、つまり枕元に置いた。 そう、今思えば、これがすべての始まりだったんだよね。 |